テトのフーコック旅行 3日目
2019/02/21
前日のシーフードレストランでグリル地鶏をほとんど残したので、ヴィラに持って帰って来ておいた。このグリルチキンを茹でてスープを取り、1日目に買った米を煮て鶏粥を作って朝ごはんにすることを思い立った。グリルチキンは骨つきというか骨ばかりなので、30−40分ほど煮込むとおいしいスープが取れた。旦那さんに近くの路面で小ねぎと人参と香菜を買って来てもらい、ヴィラに塩胡椒を分けてもらって味付けした。ヴィラから借りた包丁は柄の部分がボロボロに壊れているひどい代物で、でもそれで頑張って人参の千切りをしたら人差し指に水ぶくれができる始末だった。フルーツナイフでもよいので研いだものを持って来たかったが、今回預け荷物を付けなかったフライトプランだったので持ってこれなかった。まな板もなくて、冷蔵庫の中のガラスの仕切りを洗ってまな板がわりに使った。包丁で切るときの衝撃で割れないだろうかと思ったが大丈夫だった。鶏粥はとても美味しく出来たのだが、おかゆだけじゃ足りないと義母がどこからか鶏を買って来た。昨日の朝はインスタント麺だけでしたけど?まあそれはいいとして、なけなしの残チキンでスープをとろうと、わざわざ早起きして長時間煮込んで出汁をとったのに、鶏はヴィラの前に売っていて手軽に調達出来たようだった。義母は鶏を炊飯器に放り込んで茹でる。30分くらいで茹であがって朝ごはんとなる。生のもやしとおかゆを混ぜて一緒に食べて、蒸し鶏もおかずに食べる。私は生もやしは食べられないのだけど、ベトナム人は好んで生もやしをサラダのように食べる。鶏粥はとても美味しくて評判だった。もやしと蒸し鶏に味がついていなくて、粥は味が濃いめだったので、丁度良い塩梅だった。
朝ごはんを食べたあと、うちの家族だけサファリパークに行くことになる。なんでも義両親はダクノンで牛やらなんやら動物を飼ってるので、高い金払って動物を見に行きたくないとのことだ。たしかに一理ある。でも動物っていっても、豚やら牛やらとトラやキリンはカテゴリが全然違うと思うのだけど。観光するのにいちいち高いお金を払わなきゃいけないのに嫌気が差したのもあるのかもしれない。私たちがサファリパークに行っている間、義両親たちはフーコックにいる親戚を訪問するとのことだった。
前日は南の方に向かったが、この日は北のほうに向かう。ベトナム随一の大富豪で自分はロスに住んでいるMr. ブオンが投資したヴィンパールという遊園地の隣にサファリパークがあるので、そちらに向かう。なだらかな田舎の道をずっと進むと突如巨大な整備された土地につきあたる。そこがブオンさんの息がかかったエリアだ。左手の方に行くと遊園地とゴルフ場があって、右手に行くと動物園とサファリがある。サファリは動物園と併設になっていて、手前に動物園があり奥にサファリがある。動物園はこじんまりとしているけれども、出来立てなのもあって割と綺麗だし、子ヤギやしましまのワオキツネザルと触れたりすることができる。うちの娘は訳が分からず嫌がって泣き、子ヤギにあげる草を握りしめて振り回したもんだから、逆に子ヤギが片足立ちして追ってくることになった。動物園をぐるっと回っていると、旦那さんが娘に、動物さんたちはかわいそうだね、自由になりたいだろうね、と娘に語っていた。それは正しい、本当に正しい。でも、動物園に来るなり動物園の存在意義を否定しなくてもいいのではと思う私である。
この日は少し曇っていて涼しかったものの、徐々に日照りも出て来て歩くのがしんどくなって来た。多分動物園は半分も見ていないが、サファリパークのほうに移動する。サファリは市バスタイプのバスに乗ってパーク内を走行する形だ。ライオンとか熊とかキリンとかいるのだけど、おそらくバス内の空間が広すぎるのか、ちょっと盛り上がりにかける。キリンとかならビンズオンの動物園にいるし、クマなんか地元の北国にたくさんいて木彫りになってるくらいだし、あまり物珍しさもなかった。うちの娘は速攻飽きてYouTubeを観ていた。サイのエリアに止まった時はサイのつがいが交尾中で、しかもバスもマニュアル通り数分停車するものだから、観光客は始終サイの18禁を現場鑑賞させられることとなった。中国人のおばちゃんは大興奮で騒ぎ立て、白人カップルは苦笑いし、うちの旦那は一生懸命動画をとり(何に使うのか)、うちの娘は隣の女の子からポカリスエットをぶんどってケンカしていた。
サファリツアーは15分くらいで終わり、ツアーの出発口にあるレストランで昼食をとることにする。レストランはキリンのスペースに隣接していて、オープンテラスになっている。オーダーして番号札を持ってレストランの端っこの席に座り、娘に持参したご飯をあげていると猿が近づいて来た。日本で猿が人間に危害を加えたりすることがあると聞くので、子供を抱っこして席を離れると、猿は子供のご飯を掴んで持っていってしまった。結構離れたところからこれがご飯だと認識できるなんてすごいなと感心してしまった。うちの実家の犬は嗅覚がいいはずなのだけど3m先からも自分のご飯に気づかない。子供のご飯を食べている仲間を見つけた猿たちがわらわらと集まって来て、他に食べれる物はないかと私の席のほうに集まって来た。そして開けてないコカコーラのペットボトル2本もぶんどっていった。お店のほうも、猿に注意とか注意喚起をしてくれればいいのに、こんなんじゃおちおち食事もできない。結局そこから人がたくさんいる方に移動して残りの昼ごはんを食べた。
昼時になっていよいよ暑くなり、逃げるようにタクシーに駆け込んでヴィラに戻った。翌日の朝ホーチミンに戻ることになっていたのだけど、フーコックに来たからにはぜひ一番有名なビーチであるSaoビーチに行ってみたかったので、日照りが収まった4時頃にサオビーチに行くことにした。義両親と義姉家族は相変わらず観光地に行くことを嫌がって、ヴィラのプールで泳いでいた。
Saoビーチまでまたタクシーで20分ほど南下する。一番の観光名所なだけあって駐車場に観光バスがたくさん停まっている。昼寝せずに一日中はしゃいでいた娘はSaoビーチに着くなり爆睡を始めた。前日に行ったTraoビーチで親子共々脱いだ水着をシャワー室に置き忘れて来て、ここで新調しなければならなかった。観光客はほとんど外国人だと思うのだが売り子は英語が全然できなかった。試着ルームは売り場の奥にあるその子の家の中のカーテンで仕切られたスペースだった。小さな男の子がカーテンをめくって遊ぼうとしていて、鏡餅みたいに太ったばあさんに止められていた。 Saoビーチは前日のTraoビーチより砂が白くて細かかったが、海の透明度は同じくらいで、もう少し観光地化していた。バナナボートや水上パラシュートのサービスがあった。
水着を買った後30分くらい娘を寝かせておいて、日も沈んで来たので娘を起こして少し波打ち際で遊ばせようとしたらギャン泣きしてしまった。この旅行ではっきりしたのだが娘はどうやら砂が嫌いなようで、海辺でいちいち足についた砂を丁寧に払っていて、水遊びどころではないようだった。娘が嫌がるのでこれは無理だと諦めてヴィラに戻ろうとすると、旦那さんがまだ諦めるのは早いと、娘を抱っこして再度遊ばせようと試みた。しかしより一層ギャン泣きして、顔面を涙と鼻水だらけにして戻って来ただけだった。日も沈んでいよいよ肌寒くなってきたし、隣の席で韓国人がレンタルシートの業者ともめ出したので、(1席分しか払っていないのに2席使っていたから)1時間程度で帰ることになった。
シャワー室は数十円で有料なのだが、お金を取ってよいレベルの設備ではなく、水は冷たく下水の匂いが漂っていた。フーコック自体もてはやされ始めたのはここ数年で、もともとこのあたりの土地を持っていた地元住民がシャワー施設などを始めたらしく、インフラやサービスレベルがブームに全く追いついていなかった。高級ホテルのプライベートビーチじゃないといわゆるリゾートビーチとしては満喫できないのかもしれない。
ヴィラに戻るとベトナム人のお客さん数組が大挙して来ていて騒いでいた。私は気にならないけど、欧米系のお客さんは閑静なバケーションを求めて来ているので、プールサイドで騒ぐベトナム人一行にはがっかりだったかもしれない。私たちがビーチに行っている間に、義両親たちは街で貝を買って来て、夜は貝を網焼きにするとのことだった。多分私が前日シーフードレストランで赤貝を食べていたので、赤貝が好きと思われたのか、たくさん赤貝を買って来ていた。赤貝の網焼きなんて聞くだけで涎が出そうなのだけど、実際はギーバターと刻んだピーナッツを乗せて焼くので、一個一個が油で重かった。砂抜きもちゃんとしないので砂が取れていなくて(ベトナム人は砂抜きや卵の殻とりをあまりちゃんとやらない)、私は2個食べて食べるのをやめた。網焼きしても開かない貝がちょくちょくあって、それはもう死んでいる貝で悪くなっているとのことだった。生きているか死んでいるかというより、今焼いているその貝の保存状態が全般的に良くないということのほうが問題なのではないか?フーコックは海に囲まれいくらでも新鮮なシーフードが簡単に手に入りそうだが、漁場が近くても冷蔵流通が整備されていないようで、結局口に入るまでに鮮度が落ちてしまって、島民は漁港としての恩恵にそんなにありつけていないようだった。貝を焼いていると一昨日の警備員と義父のおじがやってきた。義父のおじは良く言えばムードメーカーというか、いちいち声がでかくてリアクションが大きくて、自己啓発セミナーとかやってそうなうるさいおじさんだった。小生意気な義姉でさえ閉口していた。貝も食べれないし、私と子供達はそそくさと家に戻り寝床に着いた。