ノトニクル

ノトがパスポートとクレジットカードを持って世界のどこかをうろつきます。

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ベトナム人と結婚してみた ⑦家さがし編

      2017/08/30

ベトナムに限らず基本的にどこの国でも同じだと思うのだが、外国人が物件を借りるときは例外なくボッタクリ価格が適用される。ベトナムのぼったくりも酷いふっかけ方で、ローカル価格が100~500USDあたりに分布するのに対し、外国人価格は300~2,000USDに分布する。

外国人向け物件の価格レンジは広いが、その中でも比較的まともな部屋だと50平米2LDKで1,000USD前後くらいの感覚である。ただ1LDKはほとんどない。ベトナムではおそらく核家族だけで住み続けるということが少ないので、1LDKという間取りの部屋はほとんど作られないのだ。ちなみにベトナムで2LDKという場合、2世帯対応でバストイレが2セットついているので、リビングなんかは日本の間取りよりもっと狭く感じる。ちなみに清掃のつくサービスアパートメントでは1,200USD以上だと割とまし、それ以下だと「全体的に大なり小なりの多数の欠陥がある」、500USD以下だと「住める」というレベルである。

先日、ホーチミンでの新生活を始めるにあたって、自分で家探しをしてみた。日系の不動産もちょくちょくあるし、楽勝だろと思ってたのだが結局自分で適当な物件を見つけることは出来なかった。日系不動産はベトナム人の営業力を駆使して割安のローカルアパートを探し出してくるような努力は全然していなくて、いくつかある“外国人がよく借りる”大型マンションの空き部屋を転がしているだけなので、びっくりするほど手持ちの玉のバリエーションが少ない。しかも貸す側も相手が外国人で金を持っていることを知っているので、ローカル常識的には考えられないような(酷い)スペックの部屋をこれまた考えられないような高価格で貸し出している。例えば棚の中にゴキブリの糞が散らばり、蜘蛛の巣がはっているようなおんぼろアパート2階の50平米が1,000ドルとかする。こんなのはローカル価格では500ドルもいかない。同じ部屋でもローカル向けと外国人向けで価格が違うのは、その部屋のオーナーが外国人を相手に出来るか出来ないかによる。同じスペックの部屋でも、英語や日本語の外国語対応が出来るなら外国人向けの価格にするし、ベトナム人しか相手に出来ないならローカル価格にする。東京で例えると、中野の築20年1DK駅徒歩15分が本来なら5万だが外国人には15万円で貸してるとか、そんな感じ。

それでも地道に探し続け、やっとまともそうな部屋を見つけてオーナーに入居可能日を問い合わせしようとすると、今度はこのオーナーに一向に連絡がつかない。外国人好みの部屋は需要に対して供給が圧倒的に少ないので、ろくすっぽ顧客対応しなくても借り手側は待っていてくれるし、今の顧客が逃げてもまたすぐに次の問い合わせが来るので対応が非常にずさんなのだ。そういう状況の住居難民がよっぽど多いのか、仲介業者が他に紹介くる物件も、「どうせ他に選べる選択肢なんかないだろ?」と足元を見てくるような物件ばかり。築1年ですと紹介された2区のマンションは1年で50cmほどマンションの周りの道路が地盤沈下しており、「川が近くて地盤が弱いんです」と言い訳していた。”弱いんです”で済むことじゃないだろ。

結局私は目ぼしい部屋を見つけることはできず、旦那さんが見つけてきた、少し郊外のマンションに住むことにする。借りた部屋のオーナーは私と同じくらいの年齢の人の良さそうなベトナム人夫婦で、外国人からぼったくるという思考がない人たちなので、格安で新築の綺麗なマンションを借りられることが出来た。これは旦那さんの今までの一番の大手柄である。このマンションには1階に大きなフランス系スーパーと、2階に大手ジムがテナントに入っていて、ちょっとの外出でもバイクが必要なベトナムにおいて、ビル内で買い物と運動が済ませられるのはこの上なく便利である。とても気に入ってずっとこのマンションに住みたいと思っていたのだが、そうはうまく事が進まないのがベトナム、こういう良物件は値段が上がりやすく、マンション価格は1年で購入時点の倍になったそうで、オーナーがどこまで本気か知らないが、私たちに貸している部屋をもう売りたいと言っていた。そうなると私たちも契約完了に伴って引っ越ししなければならなくなる。何につけても安住とは程遠いベトナムのマンション事情である。

そういえば数年前、ある事情で超ローカルの一軒家に出入りしていたことがあったのだが、この時のトラウマが以降の私のベトナム生活におけるこだわりに大きく影響し、物価の安いベトナムにおいても快適な家のためなら喜んで惜しみなく日本レベルの家賃を払うようになった。この家は中心地に近いBenh Thanh区の路地裏にあったのだが、建物もこの界隈全体も古く、排水整備もあまりされていないのか大雨が降ると路地が冠水するような場所だった。戸建なので虫が入って来やすく、毎日ゴキに遭遇、気づけばゴキがまな板の上にいたり、目の前の棚をよじ登っていたりが日常茶飯事だった。そして死ぬほどびっくりしたのが、ある日ゴキが冷まし中の揚げ油に落ちていて、私はその鍋を使うのすら憚られて周囲のベトナム人の反対をよそに鍋ごと廃棄した。ゴキがいないスペースなんか1平方メートルもないような地域だったので、業者を呼んで駆除してもゴキから解放される日は2日と続かなかった。特に大雨の後は排水溝の中に逃げてくるのか出現率が高い。でも唯一の救い、とまでは言えないかもしれがいが、ベトナムのゴキは総じて弱い。個体の動きがのろくて殺されることへの危機感もないらしく、たやすく殺される。日本のゴキのように聡明なエリート育成で子孫繁栄を目指すのではなく、虫海戦術でそれを目指している、多分。

その家にはネズミもいた。ある日二階に上がったら、ネズミが二足立ちして「おかえり」的な感じで出迎えてくれた後、屋根裏のはしごをよいしょよいしょと登って行った。夜はその屋根裏をドドドドと走り回っているらしく結構音が響く。でも一応哺乳類でハムスターとも形態が似ているのもあって、ゴキほどの拒否反応はなかった。とても低い次元での比較だが。

ところでネズミってすごいんです、なんでも食品は口に入れてみたいらしく、とにかく粉類は容器に入れていないと全て袋に穴を開けて味見する。ある時なんかはアボガドも齧っていた。アボガドの美味しさがわかるのだろうか?そしてねずみはなかなか頭がよくて、ウインナーを置いたねずみとりを仕掛けて駆除しようとしても一度誰かが引っかかると学習し、他のメンバはひっかからないのだ。うちの実家の犬より全然頭が良くて関心してしまった。

以上、最後は全く何の役にも立たないただただ不快な経験の紹介でした。私の不快な思い出を誰かに共有したかった、というわけではないんですが。

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