ノトニクル

ノトがベトナムのどこかをうろつきます。

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テトのフーコック旅行 1日目

   

2月4日、フーコック島へ向かう。せっかくの長期休暇、ダクノンでバインチュンをひたすら食べさせられるのはこりごりなので、今年はピニャコラーダを飲みながらビーチで照り焼きになるくらい太陽を浴びて、日々の煩悩から解放されて過ごしたいと思い、リゾート色の強いモルディブ旅行を提案してみた。しかし遠いということで却下になり、似たようなビーチリゾートということでバリ、プーケット、といくつか候補が出たのだが、結局義両親も連れて行こうということでフーコックに落ち着いてしまった。(義両親はパスポートを持っていない) フーコックは旦那一家がダクノンに引っ越す前に住んでいたところで、旦那さんの出生地でもありゆかりの地である。 だから義両親たちは二つ返事で喜んでついてきた。私は無駄に僻地ダクノンには10回くらい行っているが、出張以外で旅行に行くことが殆どなく、フーコックにも行ったことがなかった。なので格下げフーコック+義両親付きでもまぁいいかと、今回フーコックで旧正月の年越しを義家族と過ごすに至った。


旅程初日、初めて乗るベトジェット(LCC)のシートの狭さに驚きつつ、ホーチミン市からフーコック島に飛ぶ。搭乗者のほとんどは欧米系外国人中国人韓国人だった。飛行時間は1時間だった。1時間なんて着陸するために離陸するようなもんで、あっという間に着いてしまって、下手すると自宅から職場より時間距離的に近かった。離島リゾートのイメージが強くて行かず嫌いしていたのだが、下手にホーチミンからバリアブンタウ(ホーチミン的熱海)に行くよりずっと近くて若干面食らってしまった。フーコック空港はダラットの空港とどことなく似ていて、宿泊先に行くまでの道もきちんと舗装されていた。意外なのだが実は僻地代表ダクノンも国道だけは結構きちんと舗装されていて、ろくに電車も走っていないのに道路の整備だけは僻地でも進んでいる。ベトナム政府のこだわりなのだろうか?
空港から15分くらい北に向かうとAirbndbで予約したVilla Linh Thoというヴィラに着いた。3家族別々のコテージで3グループ3泊2万円という激安ながら、なかなか評価が良かったのでこちらにしてみたのだが、まだ築1年ちょっとで設備自体が新しく、屋外プールとBBQスペースもあって”当たり”だった。20棟くらいコテージがあったのだが、私たちが到着した時は宿泊客は5組もいないようでかなり静かだった。(後日うるさいベトナム人団体が来た)3家族分3棟コテージを予約したのだが、義母がせっかくのテトだからずっと子供たちと一緒の部屋がいいと駄々をこねるので、受付の女の子に調整してもらって2棟分をキャンセルして1つの大きめのコテージに変えてもらった。この受付の子と義父が世間話をしていると、このLien Thoのオーナーが実は義父のおじ(おそらく大叔父)だということが判明した。”親戚インフレ”が激しいベトナム、”おじ”といっても実際どのくらい血縁が近いのか不明ではあるが、このおじは昔それなりに付き合いがあったらしく旦那家族と面識がある人だった。このヴィラは私が勝手に選んで予約したので本当に偶然だった。このヴィラのオーナーが義父の大叔父だったいう偶然にも驚きだったが、この金持ちオーナーがダクノンで貧乏農家やってる旦那実家の親戚であることにも私は驚いた。大叔父はこの夜、義家族に会いに来るとのことだった。

Villa Lien Tho

ヴィラ一棟一棟はは築浅だけあって新築の匂いがするくらい設備は新しく綺麗だったが、カランからはお湯が出るのにシャワーからはお湯が出ない等、若干の設備不良はあった。蚊も結構いた。(ワンプッシュ式のポータブルベープを持っていけばよかった)クーラーはちゃんとついていて、キッチンも冷蔵庫も付いていて、IHヒーターなどを借りれば料理ができるようになっていた。長期滞在で来る人が多いので、洗濯機なども共有スペースにあった。ただビーチには若干遠いし、バイクを借りるかタクシーがないとどこにも行けないので、その辺りの不便さを考慮すると強気の値段設定は出来ないかもしれない。ホテルの星の数でいうと星三つというところだろうが、ベトナムの三つ星は拘置所みたいなところが多いので、実施兄は三つ星ホテルよりはずっと使い勝手がよかった。
ヴィラに着いたのが3時くらいで、その後プールで少し遊んでから街に魚介を買いに行ってBBQをしようということになる。タクシーで中心地のユンドンというところまで出る。BBQまで時間があるし、小腹が空いたということで皆で鶏の粥を食べることにしたのだけど、入った店はハエだらけで汚くてお粥自体も脂ぎってて不味くて、私とうちの娘は食べなかった。余談だがベトナムの庶民食は生春巻きこそ野菜が多いが、サイドディッシュなんかは結構脂ぎっているものが多くて、それを白米でかき込むもんだからみんな30歳すぎるとブクブクと太りだす。ベトナム人女性は華奢という印象を持たれているが、実際は風俗街の若いおねえちゃんと田舎の中学生までだ。人口の半分が30歳以下なので若く細い少年少女が目立つが、運動不足も相まって30超えるともれなくみんな太りだす。そういう意味では30以降で見ると日本人のほうが設備状態が良く耐久年数も長い。尚そんな偉そうなことを言う私は、まだちゃんとジムに通って日々太らないように注意しています。
お粥を食べた後ユーンドンのマーケットに行く。ホーチミン市の中華街にあるチョロンに若干雰囲気が似ている。旧正月中というのもあるのだろうがマーケットは全然活気がなかった。また規模も小さくそして汚かった。ここでBBQ用に小さな烏賊、海老、蟹、野菜を買う。さっきお粥を食べなかった自分と娘用に米とマンゴーも買う。

Duong Dong マーケット

ヴィラに戻り、義母たちがプールサイドの野外BBQスペースで炭に火を入れてBBQの準備を始める。私はタイ米を炊く。BBQの準備が出来て魚介を焼き始める。義父がヴィラのガードマンをBBQに誘う。そのおじさんも全く遠慮せずジョインする。私は仕事以外で初対面の人と話すのが苦手なのだが、義父は誰とでもすぐ打ち解けられる。うちの旦那さんも延々と家族構成とかを聞き続けて間を持たせられる人で、すぐにタクシー運転手とかと打ち解けられる。それだけじゃなくて何か気にくわないことがあった時に瞬間的に、まるで用意していたかのように流暢に文句をいうことができる。私なんかは仕事柄、要点をまとめてからじゃないとしゃべり始められないので、用もないのに話しかけたり、どうでもいいことを喋り続けられるのは羨ましくはないがすごいとは思う。

さて、BBQの魚介、素材は新鮮で美味しいのだけど、全部塩胡椒で食べるもんだから、私のほうはすぐに飽きてしまった。もっと複数のタレで色んな味を楽しんだほうがいい。やっぱり醤油を持って来るべきだった。

食べ飽きたので娘を寝かせるからと30分程度で退席する。日本人妻なんて世界一甲斐甲斐しく働くイメージを持たれていそうだが、私はそのイメージからはだいぶ外れて、一番先に食って一番先に帰るというふてぶてしい嫁です。昔は片付けとか多少手伝ってたのだけど、子供を産んだら全ての責務を果たした気分になってしまった。こんなに可愛い子も産んでちゃんと家族を食わせ、これ以上何を私に求めようというのであろうか、と小言を言われる前から威嚇している。怠け者だとか言われようが、多少後ろ指刺されようが気にしない、改めて宣言しますがもう私は頑張りません。子供を産んでから、やりたいことやるべきこと全て消化しようとガツガツ生きていた数年前とは、生きる姿勢が随分変わってしまった。既に気分は終活に向いている。その前のめりさといったら親すら凌駕するかもしれない。余計なことをせずもくもくと働き子供を育て、子が巣立ったら旦那さんとダラットで畑いじりでもして余生を楽しみたい。ちょっと前まで世間一般でいう肉食だったのに、今や肉食からの草食どころかむしろ植物に成り果ててしまった。

私たちが部屋に戻ったあと、BBQ終盤でヴィラのオーナーである義父のおじがやってきたらしかった。遠くで新年を祝う花火の音が聞こえた。1歳半の娘は訳が分からないなりにも楽しんでいて、興奮して夜遅くまでわやわやと喋り続けていた。

 - ベトナムをゆく

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